AIボイスレコーダー比較(2026年9月):録音品質より文字起こしワークフローで選ぶ

AIボイスレコーダー比較(2026年9月):録音品質より文字起こしワークフローで選ぶ

AIボイスレコーダーの比較記事の多くは、どの機種の録音品質が良いかから始まります。ですが実際に時間を取られるのは録音そのものではなく、録音したあとの文字起こし・話者分離・翻訳・編集共有です。ここでは3機種の公開ページにある価格と仕様を突き合わせ、そのうえで「そもそも専用レコーダーが要るか」を先に整理します。

私は Subanana という文字起こしサービスを運営しています。ですから専用レコーダーが向いている場面では、はっきりそう書きます。Subanana が向かない場面も同じように書きます。録音して精度を検証したものではないので、精度が気になる方はそれぞれの無料枠でご自身の声を試してください。

先に結論:3つの分かれ道

  • 対面の商談・診察・現場での打ち合わせのように、PCもスマホも開かずその場で録音を始めたい → 専用レコーダー(Plaud Note・HiDock P1・Mobvoi TicNoteのいずれか)
  • すでにZoomやTeams、Google Meetで会議をしている、手元に録音ファイルがある → ソフト単体で足ります。本体は不要です
  • 複数の言語に翻訳した字幕ファイルや、対訳の書き出しまで欲しい → 専用レコーダー3機種のどれも、この用途には作られていません

Plaud Note / Plaud Note Pro

Plaud Noteは厚さ2.99mm、重量30g。連続録音は最大30時間、スタンバイは60日間で、音声のローカル保存用に64GBのストレージを積んでいます。通話録音と対面録音の2モードを切り替えられ、112言語対応のAI文字起こしと発言者ラベル、カスタム用語登録に対応します(原文はPLAUDの公式サイト、仕様の細部は同社の別ページで2026年8月に確認済み)。

価格は本稿執筆時点(2026年9月7日)で20%オフが適用されており、Plaud Noteが¥22,000(通常¥27,500)、Plaud Note Proが¥24,640(通常¥30,800)です。割引は時限的な可能性があるため、購入時は表示価格を確認してください。

本体購入には毎月300分の無料文字起こし枠が自動で付属します。それ以上使うなら、年間プロプラン(1,200分/月・¥16,800/年)か、年間無制限プランのどちらかを選ぶ形です。無制限プランにも「本サービスは通常の利用範囲において無制限にご利用いただけますが…著しく過度な利用が確認された場合には、利用制限を行う場合があります」という但し書きが同じページにあります。無制限は分数の上限がないという意味で、際限なく使い続けられる保証ではありません。

HiDock P1

HiDock P1は¥26,800。600mAhのバッテリーを内蔵し、対面モードで最大8時間の連続録音に対応します(HiDockの製品ページ)。内蔵ストレージは64GBで、クラウド側は無制限をうたっています。対応言語は75言語です。

3機種のなかでいちばん際立つのは料金モデルです。ページには「文字起こし・要約が無制限かつ無料」とあり、コア機能は端末購入時点で無料付帯します。別に「アドバンスト機能を毎月300分無料提供」という枠もあるので、無料なのはコアの文字起こし・要約で、上位機能には別の月間上限があると読むのが正確です。連続録音時間はPlaud Noteの30時間より短い8時間で、長時間の講演を1本で録りたい人には力不足です。

Mobvoi TicNote

Mobvoi TicNoteは希望小売価格¥24,900、86×55×3mm・29gのカードサイズで、64GBの内蔵ストレージに最大434時間分の録音を保存できます。バッテリーは470mAh、連続録音最大25時間・待機20日以上、対応言語は100以上です(S-MAXのレビュー記事がメーカー仕様を実機とともに紹介しています)。

料金はクレジット制です。無料プランは月300クレジット、月額¥2,000で1,500クレジット、年払い¥13,000で月あたり1,500クレジット相当。文字起こし・要約は1分あたり1クレジットを消費します。3機種のなかで唯一、無料枠を超えた分がそのまま従量課金になる仕組みで、月に何時間録音するかが読めない人には見積もりにくい料金体系です。

AIボイスレコーダー3機種とSubananaの比較(2026年9月)

3機種を並べると

機種本体価格(税込)連続録音対応言語文字起こし料金モデル
Plaud Note¥22,000(割引時)/ ¥27,500(通常)最大30時間112言語月300分無料付属+有料プラン(1,200分/月 ¥16,800/年〜)
Plaud Note Pro¥24,640(割引時)/ ¥30,800(通常)Note固有値は未確認112言語Plaud Noteと同じプラン体系
HiDock P1¥26,800最大8時間(対面モード)75言語コア機能は端末購入で無料付帯、上位機能は月300分まで無料
Mobvoi TicNote¥24,900最大25時間100以上クレジット制:無料300クレジット/月、以降1分=1クレジット消費

3機種とも本体価格は¥22,000〜¥30,800の同じ帯に収まり、どれも本体購入に何らかの無料文字起こし枠が付きます。それでも無料枠には必ず上限があり、超えた分は月額プラン・クレジット購入・利用制限のどれかに行き着きます。本体価格が買っているのは、良い録音マイクと電池の持ちであって、無制限のAI処理ではありません。加えて、今回確認した3機種の公開ページには、字幕ファイル(SRT/VTT)の書き出しや、1回の録音を複数の言語に翻訳する機能の記載がありませんでした。単一言語の文字起こしと要約が軸の設計と読めます。

そもそも専用レコーダーは必要ですか

専用レコーダーが効くのは、ノートPCを開けない場面です。対面の商談、診察室、現場の打ち合わせ、通話録音、丸一日の講義や取材。ネットが不安定な場所も含みます。8時間から30時間のバッテリーと、64GBのローカル保存が意味を持つのはこういう場面です。ここは専用機を買う価値があります。

逆に、録音がすでにZoomやTeams、Google Meetの中で完結している人、手元にmp3やmp4のファイルがある人、YouTubeやInstagramの公開URLから起こしたい人にとって、本体は増える手順でしかありません。話者分離や翻訳が必要なら、なおさら文字起こしワークフロー側で選んだほうが早く終わります。

この場合の選択肢は、ブラウザで完結するAI 議事録 会議 文字起こしツールです。私が運営するSubananaもその一つで、AI議事録ツールとして動画(.mp4/.mov/.m4v/.webm/.mkv/.mpeg)と音声(.mp3/.m4a/.wav/.ogg/.aac/.flac/.opus)のアップロードに加え、YouTube・Instagram・Facebookの公開URLをそのまま読み込めます。1ファイルあたり30GB/8時間まで、全プラン共通です。

話者分離は逐語稿・会議モードで使えます。翻訳は字幕モードなら1回のジョブで複数の言語に同時出力でき、逐語稿・会議モードは1言語です。書き出しはSRT・VTT・TXT・DOCX・XLSX・Markdownと、6形式すべてを含むZIP。原文と訳文を1つのSRTに上下で収める対訳SRTと、字幕を焼き込んだ動画の書き出し(単言語・対訳の両方)もあります。編集画面では文字起こしに対してAIチャットで質問でき、用語集(ワークスペース単位・プロジェクト単位、XLSX/CSVの一括登録)も使えます。文字起こしは特定のモデル名に固定せず、言語ごとにベンチマークして選んだモデルへ振り分ける方式で、モデルの判定でノイズが出た区間は自動で別モデルに回されます(この再判定はユーザー負担になりません)。

料金はSubananaの料金ページの表示どおりです。年払いなら無料のほか、Liteが月あたり$9(総額$108)、Proが月あたり$18(総額$216)、Maxが月あたり$50(総額$600)。文字起こし枠はLiteが60分/月、Proが180分/月、Maxが600分/月です(月払いはLite $18・Pro $30・Max $75/月)。無料プランは各ファイルの最初の15分をプレビューでき、月3ファイルまで。字幕や逐語稿のファイル書き出しはできず、書き出せるのは透かし入りの動画のみです。

すでにPlaud Noteを検討していて、本体なしの道も見ておきたい方はPLAUD Note の代わりになるツール、NottaとPLAUDの本体込みの費用まで細かく見たい方はNottaとPLAUDの比較も判断材料になります。

それぞれが向かない人

Plaud Note・HiDock P1・Mobvoi TicNoteは、どれも本体が起点です。持ち歩く物を増やしたくない人、初期費用をかけずにまず試したい人には向きません。無料の文字起こし枠も、本体購入に付属する形で案内されています。

Subananaが向かない場面もはっきりあります。対面の商談や診察のように、PCもスマホも開かずその場で録音を始めたい人には向きません。ハードウェアは用意しておらず、バッテリー駆動のオフライン録音そのものができないからです。対応言語の公表値も、Subananaの95以上に対してPlaudは112言語です。どのプランにも無制限の枠はなく、分数には必ず上限があります。

よくある質問

AIボイスレコーダーはどれがいい?

用途で分かれます。バッテリーと連続録音時間を重視するならPlaud Note(最大30時間・64GB)、料金体系のシンプルさ重視なら文字起こしを無料付帯するHiDock P1、軽さと携帯性ならカードサイズのMobvoi TicNoteです。すでに手元に録音ファイルがある、あるいはZoomやTeamsで会議が完結している人には、専用機よりブラウザ完結の文字起こしツールのほうが手数が少なく済みます。

買い切りで買えるAIボイスレコーダーは?

本体そのものは3機種とも一度払えば買い切りです。ただしAI文字起こし・要約の枠は別の話です。Plaud NoteとMobvoi TicNoteは月300分・月300クレジットの無料枠を超えると年間プランやクレジット購入が必要になります。HiDock P1はコアの文字起こし・要約を端末購入時点で無料と案内しており、3機種のなかでは一時払いの範囲がいちばん広い設計です。それでも上位機能には月300分という別の上限があります。完全な買い切りで青天井に使えるAI処理は、この3機種のどれにもありません。

Plaud NoteとAIボイスレコーダーの違いは何ですか?

Plaud NoteはAIボイスレコーダーというカテゴリーに属する製品の一つです。カテゴリー全体には、Plaud Note以外にもHiDock P1やMobvoi TicNoteのような機種があり、価格帯(¥22,000〜¥30,800)は近くても、連続録音時間(8〜30時間)や対応言語数(75〜112言語)、料金モデル(月額プラン/クレジット制/無料付帯)はそれぞれ違います。Plaud Noteは112言語対応と最大30時間の連続録音で、今回比較した3機種のなかではバッテリーと言語カバレッジが最も広い機種です。

AIボイスレコーダーとボイスレコーダーの違いは何ですか?

従来のボイスレコーダーは音声を録って保存するだけの機器です。AIボイスレコーダーは録音のあとに文字起こし・要約・話者識別までを機器側またはセットのアプリで行います。今回比較した3機種はいずれも文字起こしと要約が標準機能です。話者を区別する機能はPlaud Noteが発言者ラベルとして案内しています。HiDock P1・Mobvoi TicNoteについては、今回確認した公開ページに話者識別の記載はありませんでした。また3機種とも、複数言語への同時翻訳や字幕ファイルの書き出しは、確認した範囲のページには記載がありません。翻訳や字幕まで必要な場合は、録音機器ではなく文字起こしワークフロー側のツールで補う形になります。

まとめ

迷ったら、まず録音の起点で考えてください。PCもスマホも開かずその場で録音を始めたいなら、Plaud Note・HiDock P1・Mobvoi TicNoteのような専用レコーダーが要ります。ここは本体を買う価値があります。

すでにPCやスマホで会議をしていて、手元に録音ファイルがあるなら本体は不要です。話者分離や複数言語への翻訳、字幕の書き出しまで必要なら、そもそも比較する相手が変わります。手元のファイルや公開URLから作る前提のツールで選んでください。