通話中の録音を文字起こしにする方法|同意・精度・実務フロー

通話中の録音を文字起こしにする方法|同意・精度・実務フロー

通話中の録音を文字起こしにする方法|同意・精度・実務フロー

通話中の録音そのものは、iPhoneでもAndroidでも標準機能で扱えます。ただし「録音できるか」はスタート地点にすぎません。相手にどう伝えるか、通話の音声はなぜ会議より文字起こしの精度が落ちやすいのか、録音したデータをどう記録として整えるか——ここまで決めておかないと、録音したファイルは結局「念のため残しただけ」で終わってしまいます。この記事では、同意・精度・実務フローの3点を順に解説します。

私はSubananaというAI文字起こし・議事録サービスを運営しています。この記事で紹介する手順の一部はSubananaを使った例ですが、まずは録音そのものの扱い方から説明します。

iPhone・Androidで通話中に録音する方法(要点だけ)

操作手順は端末やOSのバージョンで変わります。ここでは「自分の環境で使えるのか」を判断するための要点だけを整理します。

iPhone。 通話中の録音は、iOS 18.1で電話アプリに追加された標準機能です(Apple Newsroom(2024年10月28日)、日本語ページ)。通話が録音されることは、オーディオ通知で両方の通話者に知らされます。録音は「メモ」アプリの「通話録音」フォルダに保存され、そこで文字起こしを表示できます。日本語(日本)は、通話録音・通話の文字起こしのどちらも対応言語として挙げられています(iOSとiPadOSで利用できる機能、日本語ページ)。ただしApple自身が、この文字起こしについて次のように注意を促しています。

「注記: 文字起こしを信頼する前に、精度を確認してください。会話を完全に再現できていない可能性があります。」 (iPhoneで通話を録音して文字に起こす — Apple サポート、日本語ページ)

同じページには、一部の国や地域では1対1の通話しか録音できないこと、「文字起こし」が表示されない場合は端末が最低要件を満たしていないか対応言語を検出していないことも書かれています。iPhoneでの具体的な操作手順は、iPhoneで通話を録音する方法の記事に譲ります。

Android。 Googleの電話アプリに通話録音機能があります。ただし「Androidなら使える」とは言えず、条件が細かく分かれます。Googleのヘルプページが挙げている条件は次のとおりです(通話を録音する — 電話アプリ ヘルプ、日本語ページ)。

  • Google Pixel以外の端末は、Android 9以降を搭載していること。
  • Google Pixelの場合は、Android 14以降を搭載したPixel 6以降であること。
  • 通話の録音に対応しているのは、特定のデバイスと携帯通信会社のみ
  • 通話の録音を利用できる国/地域に居住していること。多くの国/地域で使えるものの、すべてではありません。

録音モードは「知らない番号は常に録音」「指定した連絡先は常に録音」「通話ごとに選択」の3つ。iPhoneと同じく、録音を始めると双方に開示されます。

「録音を開始すると、通話が録音されていることがユーザー自身と相手の両方に開示されます。」 (通話を録音する — Google 電話アプリ ヘルプ、日本語ページ)

Androidの録音には、プライバシー面ではっきりした利点もあります。Googleのヘルプによれば、録音はデバイス上に保存されて非公開のままで、通話が端末の外に保存されたりバックアップされたりすることはありません。裏を返せば、その録音は1台の端末の中に閉じているということでもあります。端末での対応状況は、実際に電話アプリの設定画面に録音機能が表示されるかで確認するのが確実です。LINE通話など、電話アプリを経由しないインターネット通話の録音手順は、LINE通話を録音して文字起こしする方法の記事で扱っています。

通話を録音するときの同意はどう考えるか

「通話中に録音したら相手にバレますか」「こっそり録音してもいいのか」は、録音機能そのものより先に気になるところだと思います。ここは一般論として整理します。個別のケースの判断は状況によって変わるため、迷うときは自社の法務・社内規程に確認してください。

日本の裁判例では、会話の当事者本人が、相手の同意を得ずにその会話を録音すること自体は、ただちに違法とはされていません。浜松の弁護士・鈴木悠太氏(鈴木・大和田法律事務所)の解説によれば、最高裁判所第二小法廷 平成12年7月12日決定(詐欺被告事件、刑集54巻6号513頁)は次のように述べています。

「このような場合に、一方の当事者が相手方との会話を録音することは、たとえそれが相手方の同意を得ないで行われたものであっても、違法ではなく」 (“こっそり録音”は違法か?〜秘密録音等の違法性〜 — 鈴木・大和田法律事務所、日本語ページ)

同じ解説が注意を促しているのは、録音そのものよりも、そのあとの扱いです。録音内容をみだりに第三者に漏らせば民法709条の不法行為が成立し得ますし、場合によっては刑法230条1項の名誉毀損罪にあたることもある、と整理されています。また、自分が当事者でない会話を秘密に録る「盗聴」は、秘密録音に比べて民事上の損害賠償責任を問われるリスクが高いとされています。会話を引き出した経緯や方法が誘導的だった場合に、録音の証明力——証拠としての実質的な価値——が否定された裁判例も紹介されています。問われるのは「録音した」という一点だけでなく、「何のために」「どう扱うか」までだ、という整理です。

そのうえで実務上のおすすめは、可能な範囲で録音することを相手に伝えることです。事前に一言添えるだけで、「バレるかどうか」という不安な状態を避けられますし、後から証拠として使う場面でも心証が良くなります。Appleのサポートページも、録音を始める前に「録音しても問題ないことを通話相手に確認してください」と案内しています。業務上の通話では、就業規則や取引先との合意で別のルールが定められていることもあります。会議の録音と社内規程まわりの論点は、会議録音は違法?合法的な録音方法とあとから議事録にする手順の記事で詳しく扱っています。

なお、この記事は一般的な整理であり、法的助言ではありません。個別の状況については弁護士にご相談ください。

なぜ通話の文字起こしは会議より精度が落ちやすいのか

同じAIで文字起こししても、Zoomなどのオンライン会議の音声より、電話・通話の音声のほうが精度が落ちやすいと感じることがあります。理由のひとつは、電話回線が伝える音の帯域そのものにあります。

  • 従来の電話回線が伝えるのは、およそ300〜3400Hzの狭帯域音声です。
  • Web会議などで使われる広帯域(ワイドバンド)音声は7kHz帯域で、音質はAMラジオと同等とされます。
  • スピーカーで話し声を聞く場面では、電話の狭帯域音声は不自然に聞こえるため、少なくとも広帯域音声の帯域が必要だと説明されています(広帯域音声とは — VTV Japan、日本語ページ)。

つまり通話の音声は、会議の音声よりもともと情報量が少ない状態でAIに渡されます。これに加えて、スピーカーフォンでの通話、周囲の雑音、マイクと口の距離が一定しないことなども、通話特有の精度低下の原因になります。Appleも自動の文字起こしについて「会話を完全に再現できていない可能性がある」と注意を添えています。文字起こしを議事録や証拠として使うつもりなら、自動生成の結果をそのまま信じず、聞き直して確認する前提で扱うのが安全です。

録音→文字起こし→要点整理→共有の実務フロー

通話録音を記録として使うまでの4ステップ:通話を録音する→文字起こしする→要点を整理する→チームに共有する

録音したファイルを、あとで実際に使える記録に変えるまでの流れは、おおよそ次の4段階です。

  1. 通話を録音する。 前章のとおり、相手に一言伝えたうえで録音します。iPhoneならメモアプリ、Androidなら電話アプリの録音履歴に音声ファイルが残ります。
  2. 文字起こしする。 録音した音声ファイルをSubananaにアップロードします。逐語録(Transcript)モードでは、話者数を手動で指定することも自動検出に任せることもでき、話者ごとに発言を分けた文字起こしを作成できます。句読点と段落の区切りは自動で整えられます(常にオンで、切り替え設定はありません)。そのうえで、LLMによる2段階の校正が使えます。1段階目は0〜100点のスコアで、文字起こし全体の品質の目安が分かります。2段階目は誤字や聞き違い——同音異義語の取り違えなど——の修正候補で、受け入れるかどうかはユーザーが選ぶ、提案・確認型の仕組みです。人名や社内用語を毎回誤変換されたくない場合は、用語集にあらかじめ登録しておくと、その表記に揃えられます。
  3. 要点を整理する。 通話の内容を議事録や要約の形にしたい場合は、ミーティング要約モードを使うと、決定事項やアクションアイテムを含む要約が作成されます。全文を読み返す代わりに、エディタ内のAIチャットに「価格について何と言っていましたか」のように尋ねる使い方もできます。
  4. チームに共有する。 プロジェクトの共有リンクを渡せば、他のメンバーもブラウザから同じ文字起こしを開けます。共有は閲覧権限で渡され、想定している使い方は「複数人で同時に編集する」ことではなく「見返して内容をすり合わせる」ことです。ファイルとして書き出したい場合は、有料プランでSRT・VTT・TXT・DOCX・XLSX・MD形式のエクスポートが使えます。

まずは直近の通話録音をAI文字起こしツールにアップロードして、話者の分かれ方や校正スコアを確かめてみてください。無料プランでも、ファイルの最初の15分までは文字起こし結果をその場で確認できます。

標準の文字起こし機能とSubananaの違い

比較項目端末の標準機能(iPhone・Android)Subanana
向いている場面録音した直後に、その通話の内容をざっと読み返すあとから検索・修正・配布する記録として残す
費用無料。追加アプリもアカウントも不要無料プランは1ファイルの最初の15分まで結果を確認可能。書き出しは有料プラン
話者の扱いiPhoneの文字起こしは、文ごとに話者を識別する(Appleサポート)話者数を手動指定または自動検出し、発言者ごとに分けた文字起こしを作成
精度の追い込みApple自身が「信頼する前に精度を確認してください」と注意を添えている誤字・聞き違いを提案・確認型で直すLLM校正、0〜100点の品質スコア、用語集で固有名詞の表記を固定
要点の整理文字起こしの検索とコピーができるミーティング要約モードで決定事項・アクションアイテムを含む要約を作成。エディタ内のAIチャットで内容を質問
配布と書き出し端末に保存された文字起こしをコピーして渡す共有リンクを渡せばブラウザで読める。SRT・VTT・TXT・DOCX・XLSX・MD形式で書き出し

「録音してすぐ内容を確認したい」だけなら、端末の標準機能で十分です。無料ですし、追加のアプリもいりません。ここで記事を閉じても損はありません。

一方で、商談・顧客サポート・インタビューのように、通話の内容をあとから誰かに見せるなら、必要なものは録音ではなく記録です。誰の発言か分かること、固有名詞が正しく書かれていること、要点が抜き出してあること、そして相手に渡せる形になっていること。話者分けから校正、要点整理、共有までを一つの流れでできるツールのほうが、そこまでの手間は確実に少なくなります。

よくある質問

iPhoneで通話中の録音はできますか?

できます。iOS 18.1で電話アプリに追加された標準機能で、通話画面から録音を開始できます。録音を始めると、通話が録音されることがオーディオ通知で両方の通話者に知らされ、通話後はメモアプリの「通話録音」フォルダに保存されます。日本語(日本)は通話録音・通話の文字起こしの対応言語に挙げられていますが、Apple自身が精度を過信しないよう注意を促しているため、内容を重視する場面では聞き直して確認することをおすすめします。

通話中に録音したら相手にバレますか?

iPhone・Androidの標準の通話録音機能は、いずれも録音開始時に両方の通話者へ通知・開示される仕様です。標準機能では、相手に気づかれずに録音することはできません。「バレるかどうか」を気にするより、録音することを先に一言伝えておくほうが、あとから不安になったり誤解を招いたりすることを避けられます。

スマホで電話中の録音はできますか?

iPhone・Androidともに、標準機能または標準アプリ(電話アプリ)で通話中の録音に対応しています。ただしAndroidは、端末・OSバージョンに加えて携帯通信会社と国/地域によって対応が分かれます。使う前に、自分の電話アプリの設定画面で録音機能が表示されるか確認してください。

iPhoneの通話をこっそり録音してもいいですか?

まず仕様として、iPhoneの標準の通話録音は双方に通知が流れるため、こっそり録音する用途には使えません。そのうえで一般論として、会話の当事者本人が相手の同意を得ずに録音すること自体は、日本の裁判例上ただちに違法とはされていません(最高裁判所第二小法廷 平成12年7月12日決定)。ただし、録音した内容を無断で第三者に開示する、相手を誘導するような方法で録音するといった行為は別のリスクを伴いますし、会社の就業規則で録音自体が制限されている場合もあります。可能な範囲で、録音することを相手に伝えておくのが実務上は安全です。個別の状況での適法性は、この記事だけで断定できるものではないため、迷う場合は自社の法務・社内規程や弁護士に確認してください。

録音を、あとで使える記録に変える

通話を録音するだけなら、iPhoneもAndroidも標準機能でまかなえます。差が出るのはその先です。相手にどう伝えるか、通話特有の精度の壁をどう扱うか、録音を誰がどう見返せる形にするかを決めておくことで、録音は「念のため残しただけのファイル」ではなく、実際に使える記録になります。

Subananaの逐語録モードでは、話者数を指定した文字起こし、誤字・聞き違いを直す提案・確認型の校正、要点整理、共有リンクでの配布までを一つの流れで行えます。次の通話からは、録音したファイルをそのまま記録として活かしてみてください。