「議事録でダメな例は?」と聞かれたとき、いちばん多い答えは「決定事項が書かれていない議事録」です。
会議に出ていない人が後から読んで、何が決まったのか・次に誰が何をするのかが分からなければ、その議事録は記録として機能していません。逆に言えば、文章が多少ぎこちなくても、決定と担当と期限が押さえられていれば議事録としては十分です。
ダメな議事録は、書き手の文章力の問題ではなく、型を外していることが原因です。ここでは代表的な5つのパターンを、直し方とセットで見ていきます。

ダメな議事録・5つのパターン早見表

| ダメな例 | 何が起きるか | 直し方 |
|---|---|---|
| 決定事項が書かれていない | 後から「結局どうなった?」と聞かれる | 冒頭に「決定事項」欄を固定で置く |
| 発言をそのまま書き写している | 長いのに要点が読み取れない | 論点ごとにまとめ、逐語は必要な箇所だけ |
| 担当者と期限がない | 誰も動かず、次の会議で同じ話をする | タスクは「誰が・何を・いつまでに」で書く |
| 事実と意見が混ざっている | 決定なのか私見なのか判別できない | 決定・保留・意見を見出しで分ける |
| 共有が遅い | 記憶が薄れ、訂正もされない | 当日中に共有し、訂正は本文を直す |
1. 決定事項が書かれていない
もっとも多く、もっとも致命的なパターンです。議論の流れは詳しく書かれているのに、結論だけが抜けている議事録です。
読み手が知りたいのは経緯ではなく結果です。「A案とB案を比較し、さまざまな意見が出た」で終わっている議事録は、後から参照しても使えません。
直し方:議事録のいちばん上に「決定事項」の欄を固定し、そこだけ読めば結論が分かる形にします。決まらなかった場合も「保留(次回◯日に再検討)」と書けば、それ自体が有効な記録になります。
2. 発言をそのまま書き写している
「素起こし」に近い状態のまま提出してしまうパターンです。一見きちんと記録しているようで、読む側には負担しかありません。
会議中の発言には、言い直し・雑談・脱線が含まれます。それを削らずに並べると、分量ばかり増えて要点が埋もれます。
直し方:発言単位ではなく論点単位でまとめ直します。逐語で残すのは、表現そのものが重要な場合(法的な確認、クレーム対応、正式な合意文言など)に限ります。素起こしと整文の違いについては 素起こし・ケバ取り・整文の違い で詳しく整理しています。
3. 担当者と期限が書かれていない
「〜する方向で進める」「追って確認する」といった書き方で終わっている議事録です。文としては成立していますが、実行されません。
主語がない文は、日本語として自然でも、タスクとしては機能しません。
直し方:タスクは必ず「誰が・何を・いつまでに」の3点セットで書きます。
- ✗ 見積もりを再確認する
- ○ 山田が、B社の見積もりを、8月5日までに再確認する
4. 事実と意見が混ざっている
決定事項と、個人の感想や提案が同じ段落に並んでいるパターンです。読み手は、どれが会議の結論でどれが一個人の意見なのか判断できません。
直し方:「決定事項」「保留・継続検討」「主な意見」の3つに見出しを分けます。意見を書くこと自体は問題ではなく、決定と混ざることが問題です。
5. 共有が遅い
内容の問題ではなく運用の問題ですが、実務ではこれが最も多い失敗かもしれません。1週間後に共有された議事録は、参加者の記憶が薄れているため訂正されず、誤りを含んだまま確定してしまいます。
直し方:完璧を目指さず、当日中に共有します。訂正はコメントではなく本文に反映し、常に本文が最新の状態になるようにします。
議事録づくりを楽にする方法
上の5つのうち、1〜4は「書き方」の問題なので、型を決めれば改善できます。ただし現実には、会議に集中しながら同時に記録すること自体が難しく、そこで抜けが生まれます。
このとき有効なのが、会議を録音しておき、あとから文字起こし・要約する方法です。Subanana の場合、録音ファイルをアップロードすると自動で文字起こしされ、決定事項とタスクを含む要約が生成されます。話者分離にも対応しているため、「誰の発言か」が残ります。書き出しは DOCX(Word)や Markdown など複数の形式に対応しており、日本語を含む95以上の言語を扱えます。
ただし、正直に書いておきます。AIは「実際には決まらなかったこと」を決定事項として書くことはできません。 会議で結論が出ていなければ、要約にも結論は現れません。AIができるのは記録と整理の手間を引き受けることであって、会議そのものの質を上げることではありません。上の5番目「共有が遅い」も、AIを使えば当日共有のハードルは大きく下がります。
会議の記録方法そのものは 会議の文字起こし方法、要約ツールの選び方は 議事録の要約ツール も参考にしてください。
よくある質問
議事録が上手い人の特徴は?
文章がうまい人ではなく、会議中に「これは決定なのか」を確認できる人です。議論が曖昧なまま流れそうなときに「今の件は◯◯という理解でよろしいですか」と一言挟める人は、結果として議事録も明確になります。書く技術より、確認する習慣です。
議事録に何を記載すべきか?
最低限必要なのは、日時・参加者・議題・決定事項・タスク(担当と期限)・次回予定です。議論の経緯は、決定の理由を残す必要がある場合に絞って書けば十分です。書式の具体例は 議事録テンプレート にまとめています。
無駄な会議の特徴は?
決定事項がゼロの会議です。議事録を書こうとして「決定事項」欄が埋まらない会議は、情報共有だけで済んだ可能性があります。議事録は、その会議が必要だったかどうかを判定する材料にもなります。
議事録は「である調」で書くべき?
どちらでも構いませんが、1つの文書内で統一することが重要です。社内の記録では簡潔な「である調」、社外や公式な議事録では「ですます調」が選ばれる傾向があります。決まった社内書式があるなら、それに従うのが最優先です。
まとめ
ダメな議事録は、才能ではなく型の問題です。決定事項を先頭に書く・タスクは「誰が・何を・いつまでに」で書く・当日中に共有する——この3つを守るだけで、大半のパターンは避けられます。書き方の基本は 議事録の書き方とコツ も合わせてご覧ください。