「AmiVoice 比較」で検索してこのページにたどり着いた人は、おそらく一つの疑問だけを抱えているわけではない。検索結果の上位には、AmiVoice自身が運営する製品一覧ページと、「AmiVoice ScribeAssistの料金・口コミ・評判は?Nottaとの違い」という記事が並ぶ。つまり読み手は「AmiVoiceのどの製品を選べばいいのか」と「そもそもAmiVoiceという選択肢が自分に合っているのか」という、レイヤーの違う2つの疑問を同時に持っている。
この記事では、公開されている一次情報(advanced-media.co.jp / acp.amivoice.com)だけを根拠に、まず前者――AmiVoiceの製品ラインアップの違い――を整理する。そのうえで、クラウド型の議事録AIツール全般との向き不向きにも触れる。AmiVoiceは国内の音声認識で実績のあるベンダーで、官公庁や金融機関向けの手堅い提案力を持つ。一方でSubananaは、料金を見て自分で契約できるクラウド型のサービスであり、ScribeAssistのように「製品として選んですぐ配布できる」オフライン版アプリケーションは持たない(企業向けのオンプレミス導入は、公開プランとは別の個別見積もり経路がある。後述する)。その違いを最初にはっきりさせておくことが、遠回りしない選び方につながる。
比較の前提
AmiVoice(提供元:株式会社アドバンスト・メディア)は、コールセンター・医療・建設・物流など業種別に非常に多くの製品・サービスを展開している。この記事では「議事録・会議の文字起こし」というニーズに絞り、そこに関係する3系統だけを扱う。
- ScribeAssist(VoXT Oneのスタンドアローン製品。PC内で完結し、オフラインで動く)
- ProVoXT(VoXT Oneのクラウド製品)
- AmiVoice Cloud Platform(開発者向けAPI・SDK)
コールセンター向けの「Communication Suite」や医療・建設向けの各製品は、議事録用途では選択肢に入らないため対象外とした。
AmiVoiceの製品ラインアップ
ScribeAssist — スタンドアローン型(オフラインで完結)
ScribeAssistは、AmiVoice公式サイトによると、Windows PC上で完結するスタンドアローン型のAI議事録作成アプリケーションで、インターネット接続なしで音声認識が動作する(AIによる要約の一部機能のみインターネット接続が必要)。同ページでは、民間企業・団体2,100件/地方自治体990件の導入実績(2026年3月現在の数字で、ScribeAssist単体ではなく同社の議事録作成支援サービス全体の実績として注記されている)、「ISO/IEC 27001(ISMS)」の認証とプライバシーマークの取得、そして「利用量ではなく同時接続数に応じた料金体系」であることが明記されている。料金はオープン価格で、公式サイトに具体的な金額の掲載はなく、個別見積もりとなる(ライセンス数に応じた定額制、導入初期費用は無料と記載)。14日間の無料トライアルが用意されている。
なお用語の整理として、公式サイトの表記は一貫して「スタンドアローン型」であり、サーバーを構築する意味でのオンプレミス製品ではない。インストール先は利用者のWindows PCで、動作環境はWindows 10/11、Core i5以上・メモリ8GB以上とされている。社内にサーバーを立てて全社で共有する形を想定している場合は、この点を調達要件と突き合わせておく必要がある。
対応するWeb会議ツールとしてZoom・Teams・Google Meet・Webexが挙げられており、話者識別やキーワードタグ付け、ローカルAI(ローカルLLM)による要約機能も備える。業種特化では、医療・金融・建設などの専用エンジンと単語登録機能、さらにオプションの「チューニングプラン」で自社の過去議事録や専門用語集をもとに専用の音声認識辞書を仕立てられる点が挙げられている。公式FAQではLGWAN環境での利用可否についても「はい。「ScribeAssist」はスタンドアローン型なのでLGWAN環境でも利用できます」と明言されている。
「外部にデータを送信できない」という調達要件がある組織――官公庁、金融機関、法務・コンプライアンス部門など――にとっては、この完全オフライン動作とLGWAN対応こそが選定理由になる。「データを一切外部に出さない」という要件に限れば、ここはクラウド型ツールが構造的に埋められない差だ(LGWAN対応だけが要件なら、同社のクラウド版ProVoXTも選択肢に入る。後述する)。完全オフラインが要件に該当するなら、この記事の残りを読む必要はほとんどない。ScribeAssistに問い合わせるのが最短距離だ。
ProVoXT — クラウド型
同じVoXT Oneブランドの下で、ProVoXTはクラウド型の議事録サービスとして提供されている。公式サイトの説明では「ワンストップで文字起こし・議事録作成・共有」ができ、要約にはChatGPTが組み込まれている。利用人数の制限がない点も明記されている。料金はScribeAssistと違って公開されており、ProVoXTの公式ページに月額料金(税抜)の時間パック表が掲載されている――10時間パック¥13,000、20時間パック¥25,000、30時間パック¥36,000、50時間パック¥50,000、70時間パック¥63,000、100時間パック¥80,000、1000時間パック¥700,000(2026年10月時点)。同ページには「100時間からは50時間ごとにプランがございます」との注記もある。同ページのFAQは「はい。14日間のトライアルをご提供しています」としたうえで、希望する場合は問い合わせが必要だと案内している。LGWANについても「『ProVoXT』はLGWANに対応※したクラウド型のAI議事録ツールです」としたうえで、LGWAN環境ではリアルタイム認識機能とiOSアプリが使えないこと、ファイル認識が300MB/720分に制限されること、Word・Excel形式での議事録出力に対応しないことを注記している。
ScribeAssistとの違いは単純で、インターネット接続が前提のクラウドサービスか、オフラインで完結するスタンドアローンアプリかという点に尽きる。機能面(話者識別・要約・エクスポート形式)は大きくは変わらない。
AmiVoice Cloud Platform — 開発者向けAPI・SDK
acp.amivoice.comは、自社サービスに音声認識を組み込みたい開発者向けのプラットフォームで、議事録アプリそのものではない。公式サイトによると3つの提供形態がある。
- AmiVoice API — クラウド、従量課金
- AmiVoice API Private — 専用サーバー(オンプレミスまたはホスティング)
- AmiVoice SDK — iOS / Android / Windows向けの、オフラインでも動作する組み込み型
料金は従量制が基本で、公式サイトには共用サーバー利用型のAmiVoice APIについて「すべてのエンジン、感情分析機能が毎月60分まで無料でご利用いただけます」という記載があり、アカウント登録後すぐにサンプルプログラムとドキュメントで評価できるとされている(この無料枠はAmiVoice APIの記載で、専用サーバーのAPI Privateや組み込みSDKは個別の見積もり・契約になる)。ここは「議事録アプリを選ぶ」話ではなく、「自社プロダクトに音声認識エンジンを組み込む」ための選択肢であり、対象読者が違う。
どれを選ぶか(AmiVoice内での比較)
| 製品 | 形態 | 主な対象 | データの扱い | 料金 |
|---|---|---|---|---|
| ScribeAssist | スタンドアローン(Windows PC内で完結) | 官公庁・金融などデータ外部送信NGの組織、LGWAN環境 | 完全オフラインで完結 | オープン価格・個別見積り(同時接続数に応じた定額制)・14日間トライアル |
| ProVoXT | クラウド(LGWAN対応※) | 一般企業・自治体の議事録作成・共有 | クラウド処理、利用人数制限なし | 月額¥13,000〜¥700,000(10時間〜1000時間パック・税抜。出典:公式ページ、取得 2026-10-30)・14日間トライアル(要問い合わせ) |
| AmiVoice Cloud Platform(API/SDK) | クラウド/専用サーバー/端末組み込み | 自社サービスに音声認識を組み込みたい開発者 | 選ぶ形態次第(API=クラウド、API Private=専用サーバー、SDK=オフライン組み込み) | 従量課金。AmiVoice APIは毎月60分まで無料 |
※ ProVoXTのLGWAN対応は公式ページの機能説明とFAQに記載。LGWAN環境ではリアルタイム認識機能とiOSアプリが対象外で、ファイル認識は300MB/720分に制限され、Word・Excel形式での議事録出力は非対応。
判断の軸はシンプルで、「録音データを絶対に外に出せないか」「議事録アプリがそのまま欲しいのか、自社製品に組み込みたいのか」の2つで、ほぼ製品が決まる。

セキュリティ・オンプレミス要件がある場合
Subananaの通常プラン(Free/Lite/Pro/Max)はクラウド提供のみで、ScribeAssistのように「製品として選んで配布すればオフラインで動く」スタンドアローン版アプリケーションは用意していない。録音・文字起こしデータを外部に一切出せない、という調達要件を今すぐ・低コストで満たしたいなら、選ぶべきはAmiVoiceのScribeAssist(またはAmiVoice API Privateのような専用サーバー形態)で、この記事の文脈ではSubananaより向いている。
なお、Subananaにも、予算と厳格なコンプライアンス要件の両方を抱える組織に限って、顧客環境内で処理が完結するオンプレミス導入を、プロジェクト単位の個別見積もり・お問い合わせ経由で提供する経路はある。ただしこれは公開の料金ページには載っておらず、セルフサーブで即日契約できるものではないため、「今日中に試したい」「料金を見て自分で決めたい」という読み手には、この記事の対象外と考えてよい。
一方で、クラウドで問題なく、問い合わせや見積もりを挟まずにその場で登録して試したい、という場合は次の章で選択肢が広がる。
AmiVoice以外の選択肢 — クラウド型ツールとの向き不向き
AmiVoiceの2製品(ScribeAssist・ProVoXT)に共通するのは、議事録・会議の文字起こしに特化したエンタープライズ向けの提案型ビジネスであることだ。これは官公庁・金融機関のような調達プロセスには合っている一方、「今日中に試したい」という中小チームや個人には遠回りになりやすい。なお料金の見せ方は2製品で違い、ProVoXTは月額の時間パックを公開しているが、ScribeAssistはオープン価格で個別見積もりになる。
Notta・Rimo Voiceなど個別のクラウド型議事録ツールの機能比較は、当ブログのAI議事録ツール比較(2026年8月)やNottaとPLAUDはどっちを選ぶ?で詳しく扱っているので、ここでは重複を避け、AmiVoiceとの対比だけに絞る。
Subananaはクラウド型で、料金ページに月額プランを公開している。複数の音声認識モデルを継続的にベンチマークし、言語と用途ごとに成績の良いモデルへ振り分ける方式で文字起こしを行い、Google Meet・Microsoft Teamsは会議ボットで自動記録、ZoomはChrome拡張機能での録音キャプチャに対応する。議事録の文字起こし結果は1つの翻訳先言語への翻訳を追加でき、用語集(グロッサリー)機能で社名・専門用語の表記ゆれも防げる。
SubananaのファイルはAWSのシンガポールリージョンに保管され、AES-256で暗号化される。保管先リージョンを利用者側で選ぶ仕組みはなく、国内データ保管が調達要件に入っている組織には通常プランでは応えられない。この要件が外せないなら、そもそもデータを送信しないScribeAssistか、専用サーバーを構築するAmiVoice API Privateを見るのが筋で、前章の結論のままでよい。
AmiVoice ScribeAssist / ProVoXTが強いのは、話者識別やキーワードタグ付けを含む議事録専用アプリとしての完成度、そして官公庁・金融機関での大規模導入実績――Subananaにはこの規模の導入実績はない。逆にSubananaが強いのは、その場で登録してすぐ使い始められる手軽さ、対応言語の広さ、そして議事録に翻訳を付けてそのまま共有できる会議記録ワークフローだ。議事録 AIツールのページから、実際にどんな出力になるか確認できる。
ファイルの選択や文字起こし対象言語の設定はサインアップ前でもできるが、実際に文字起こし・要約が実行されて結果が出るのはサインアップ後になる。無料プランに登録すればすぐに結果を確認できる。
どちらを選ぶべきか(まとめ)
- 外部にデータを一切出せない調達要件がある → AmiVoice ScribeAssist(またはAmiVoice API Private)
- AmiVoiceのエコシステムでクラウド運用したい、利用人数の制限なしで使いたい → AmiVoice ProVoXT
- 自社サービスに音声認識エンジンを組み込みたい開発者 → AmiVoice Cloud Platform(API/SDK)
- クラウドで構わない、問い合わせずにその場で登録して試したい、多言語の会議も多い → Subananaのようなセルフサーブ型クラウドツール
よくある質問
AmiVoiceの料金はいくらですか?
製品によって違う。ScribeAssistはオープン価格で、公式サイトに具体的な金額の掲載はなく個別見積もりが基本だ(「利用量ではなく同時接続数に応じた料金体系」、ライセンス数に応じた定額制・導入初期費用は無料)。一方ProVoXTは月額料金(税抜)を公式ページで公開しており、10時間パック¥13,000から1000時間パック¥700,000までのパックが用意されている(2026年10月時点)。14日間のトライアルも同ページのFAQに明記されているが、利用するには問い合わせが必要とされている。
どのAmiVoice製品を選べばいいですか?
録音データを外部に出せない調達要件があるならScribeAssist、クラウドで構わず議事録アプリがそのまま欲しいならProVoXT、自社サービスに音声認識を組み込みたいならAmiVoice Cloud Platform(API/SDK)が対象になる。
ScribeAssistはLGWAN環境でも使えますか?
公式FAQは「はい。『ScribeAssist』はスタンドアローン型なのでLGWAN環境でも利用できます」と明記している。自治体の導入実績は990件(2026年3月現在、同社の議事録作成支援サービス全体の数字)とされており、LGWAN要件がある部署ではこれが実質的に選定理由になる。ただし「クラウドだからLGWANでは使えない」わけではない。同社のクラウド版ProVoXTも公式FAQで「『ProVoXT』はLGWANに対応※したクラウド型のAI議事録ツールです」とされている(LGWAN環境ではリアルタイム認識機能とiOSアプリが対象外)。ScribeAssistが効くのは、LGWAN対応より一段厳しい「データを一切外部に出さない」という要件のほうだ。
Nottaやセルフサーブのクラウドツールとの違いは?
AmiVoiceの2製品は提案型で、官公庁や大企業の調達プロセスに合わせた設計になっている(ScribeAssistはオープン価格で個別見積もり、ProVoXTは月額の時間パック料金を公開)。Notta・Subananaのようなクラウド型ツールは、問い合わせを挟まずにその場で登録し、無料プランから自分で試せる点が違う。機能の詳しい比較はNottaとPLAUDの比較記事を参照。
セキュリティやオンプレミス要件がある場合はどうすればいいですか?
録音・文字起こしデータを社外に一切出せないという要件を、製品としてすぐ選べる形で満たしたいなら、AmiVoice ScribeAssist(ISO/IEC 27001認証・プライバシーマーク取得、完全オフライン動作)が候補になる。Subananaの通常プランはクラウド型でセルフサーブのオンプレミス製品はなく、データはAWSのシンガポールリージョンに保管される。予算と厳格なコンプライアンス要件の両方を抱える組織に限り、プロジェクト単位の個別見積もりで企業向けオンプレミス導入をお問い合わせ経由で提供している。
AmiVoiceは官公庁・金融機関向けの提案実績と、完全オフラインで動くScribeAssistという選択肢を持つ、国内の音声認識ベンダーとして手堅い存在だ。ただしその手堅さは、ScribeAssistのオープン価格・見積もり待ちという形にもなって現れる。クラウドで構わず、その場で登録して試したいなら、Subananaの議事録AIのようなセルフサーブ型のツールも選択肢に入れて比較してほしい。